ペロブスカイト太陽電池とは、多様な物性を示す「ペロブスカイト結晶構造」を持つ化合物を発電体として用いる太陽電池のことです。
ペロブスカイト太陽電池の主な原料はヨウ素ですが、日本のヨウ素生産量は世界第2位であり、シェアでも約3割を占めています。
資源が少ない日本ですが、ペロブスカイト太陽電池に関しては原料を他国に頼らずに安定して確保することが可能です。
従来型の太陽電池との違い
ペロブスカイト太陽電池と従来の太陽電池との大きな違いは、その軽量性です。
従来の太陽電池は、発電層がシリコンでできた「シリコン系太陽電池」ですが、太陽電池そのものが厚くて重量があるうえに、カバーにするガラスの重みも加わるので、設置場所が限られる点が課題となっています。
日本では平地面積あたりの太陽光発電容量が世界主要国中最も大きくなっており、これ以上設置する場所がなくなってきているという課題があります。
ペロブスカイト太陽電池は軽いだけでなく、薄くて柔軟性もあるため、従来太陽電池の導入が難しかったような場所でも設置が可能になると期待されています。
ペロブスカイト太陽電池のメリット
1.低コスト化が見込める
ペロブスカイト太陽電池は、材料をフィルムなどに塗布・印刷して作ることができます。
製造工程が少なく、大量生産ができるため、低コスト化が見込めます。
2.軽くて柔軟
シリコン系太陽電池が重くて厚みもあるのに対し、ペロブスカイト太陽電池は小さな結晶の集合体が膜になっているため、折り曲げやゆがみに強く、軽量化が可能です。
3.主要材料は日本が世界シェア第2位
ペロブスカイト太陽電池の主な原料であるヨウ素は、日本の生産量が世界シェアの約3割を占めており、世界第2位です(第1位はチリで約6割)。
そのため、他国に頼らずに安定して確保でき、経済安全保障の面でもメリットがあります。
ペロブスカイト電池の課題
・耐久性の低さ
一般的に5~10年程度とされていますが、近年は20年相当の耐久性を実現する研究が進んでおり、実用化が期待されています。
・寿命の短さ
現状では5年程度とされています
・大面積化の困難さ
面積が大きくなると性能にばらつきが出るため、従来技術では大面積を均一に製膜することが難しく、変換効率が大きく低下する傾向があります。
・変換効率の向上
変換効率は、開発当初の3%程度から、現在は20%前後にまで高まっています。
このような課題を克服しシリコン系太陽電池に対抗するには、今後の研究・開発によるさらなる性能の向上が必要とされています。
今後ビルの壁面や工場の屋根などへの設置、IoTデバイスなどへの設置、交通や航空などの分野への利用など様々な分野で活用が期待されています。
エネルギーは日常生活や社会活動を維持するために欠かせないものです早期に社会実装される事を願っております。
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