令和3年(2021年)4月21日、民法の一部を改正する相続登記の義務化等が行われました。
その中で、土地・建物の所有者が調査を尽くしても不明である場合には、土地・建物の管理・処分が困難な現状があり、これらの問題に対処するため、今回の民法の改正で、所有者が不明な場合の土地(建物)についての「所有者不明土地・建物管理制度」が創設されました。
施行は令和5年(2023年)4月1日です。
これまでは、行方が分からなくなった人の財産管理については「不在者財産管理制度(民法25条)」を、亡くなったあと相続人の存在が判明しない人の財産については「相続財産清算人制度(民法952条)」を利用して財産管理や清算を行ってきました。
「不在者財産管理制度」や「相続財産清算人制度」は、対象となった人の財産全部を管理する制度であるため、管理対象財産の幅が広いものとなり裁判所から選任された管理人(清算人)の負担が重くなっていました。
そこで、対象となった人の財産全部を管理するこれまでの制度だけではなく、例えば「放置されて草木が伸び放題の隣地」など特定の所有者不明土地(例=〇〇市〇〇区〇丁目1番の土地)のみを財産管理の対象として問題の解決を図るため、所有者不明土地管理制度が始まりました。
■所有者不明土地管理人の選任
管理人選任の要件
・ 所有者不明の土地であること
・ 利害関係人が裁判所に対して申し立てをしたこと
・ 裁判所が必要であると認めたこと
所有者不明土地管理命令を発令するには、裁判所が「必要であると認める」ことが必要となっています。
裁判所は、土地の所有者の利益を保護しつつ、土地を適切に管理することを可能とするため、 管理命令を発出し、管理人を選任します。
■所有者不明土地管理人の権限
・所有者不明土地管理人が選任された場合、管理の対象となっている土地の管理処分権は、所有者不明土地管理人に「専属」することとされました
管理範囲と権限
管理人の権限は、管理対象となった土地とその土地の上に存在する動産(ただし、土地の所有者が所有するものに限ります。)に及びます。
・保存行為
・所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用または改良を目的とする行為
上記以外の範囲を超える行為をする場合には、裁判所の許可を得なければならないとされています。
裁判所の許可が必要な場合
・不動産の売却
・不動産に関しての訴えの提起
・債務の弁済など
■所有者不明土地等に係る管理費用・報酬所有者不明土地等に係る管理費用・報酬
・管理費用及び報酬は、所有者不明土地等の所有者が負担します。
身の回りや地域にある「所有者の行方が分からない土地」について管理を行っていく場合には、いくつかある管理人制度を比較しながら、どの制度を利用するべきなのか専門家に相談するなどして検討することが重要との事です。
いま社会問題になっている所有者不明土地問題の解消になっていく事を期待しております。
参考資料
国土交通省:所有者不明土地ガイドブック
その1:不動産物件をAIが自動物件紹介サービス
【物件提案ロボ・土地情報ロボ】
希望の条件に合う物件情報を自動でお届けするロボットです。
不動産データベース【REINS】登録翌日に「新着物件」の通知メールを送信致します。物件情報に加えて、物件の資産性をビッグデータにより評価書付きにてお届けするサービスです。
【REINS】のご説明
売主から物件売却の依頼を受けると、不動産事業者だけが閲覧できる「レインズ」というデータベースに情報を登録することが法律で義務づけられています。どの不動産事業者に行っても同じ不動産情報が得られる仕組みになっており、全国各地から多くの買い手が物件を探すことができる仕組みになっています。