少子高齢化による将来への不安や、不動産取得税や固定資産税などの軽減措置が受けられることによる税金対策として、二世帯住宅が注目を集めているようです。
建築費や税金といった資金面で優遇されるとはいえ、二世帯住宅のメリットやデメリットを知っておいたほうが良いと思い、調べてみました。
■取得時(不動産取得税)から所有している間(固定資産税)の税金の減額
(1)建物に係る不動産取得税の軽減
50平方メートル以上240平方メートル以下の床面積で居宅要件を満たす家屋については、1世帯当たり、価格から1200万円を控除したものに3%をかけたものが不動産取得税となります。
※各戸の固定資産税評価額が4000万円の場合で考えてみました。
ケース1:一世帯住宅の場合の不動産取得税
【固定資産税評価額】4000万円-【控除額】1200万円=2800万円×【不動産取得税3%】=84万円/年
ケース2:二世帯住宅の場合の不動産取得税
【固定資産税評価額】4000万円-【控除額】1200万円-【控除額】1200万円=1600万円×【不動産取得税3%】=48万円/年
このように、同じ建物であっても二世帯住宅にすることで、36万円の節税になります。
(2)固定資産税(家屋)の軽減
50平方メートル以上280平方メートル以下の床面積で居宅要件を満たす家屋については、1世帯当たり120平方メートル相当分の固定資産税を新築後3年間2分の1に減額となります。
したがって、二世帯住宅は、床面積が120平方メートル×2世帯で最大240平方メートルまで固定資産税が安くなります。
さらに、長期優良住宅に認定された住宅の場合は、新築後5年間2分の1に減額されます。
(3)固定資産税(土地)の軽減
住宅の敷地で1世帯当たり200平方メートルまでの部分が小規模住宅用地として扱われ、土地にかかる固定資産税の課税標準額が6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1に軽減されます。
二世帯住宅は小規模住宅用地として200平方メートル×2世帯で最大400平方メートルまで適用されます。
(4)住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)やすまい給付金の適用も可
二世帯住宅の建築費用を親子で出資する場合、親子ともに住宅ローン減税が適用されます。住宅ローンの利用がない場合でも、50歳以上に対しては、すまい給付金の給付が適用されます。
ただし、所得要件や消費税率によって給付の有無や最大給付額が変わりますので、国土交通省のすまい給付金サイトで、確認してください。
詳しくは下記より
二世帯住宅と判断される要件とは?
二世帯住宅を建築する際の登記は、「単独」「共有」「区分」の3通りに分かれますが、このような登記の内容に関わらず、実質上の構造や利用状況によって、税制上のメリットがあるかどうかが判断されます。
具体的には、各地方自治体によって二世帯住宅の要件(※)は異なるようですが、概ね世帯ごとに、「玄関(各世帯ごとの専用の出入口、勝手口は除く)」「台所(卓上コンロなどの簡易なものは除く)」「トイレ」があり、さらに、「世帯間の通路がある場合、扉等で仕切られていること」などで判断されます。
※税制上の優遇措置の対象となる二世帯住宅の要件は、各地方自治体に最終確認してください。
これから二世帯住宅を検討されている方は参考にしていただければ幸いです。