総務省の住宅・土地統計調査によると、2023年10月時点での空き家の数は過去最多の900万戸となりました。総住宅数に占める割合は13.8%に達し、人口減少や高齢化などを背景に増加傾向が止まりません。なかでも居住など使う目的がない「放置空き家」は385万戸に上るようです。2024年7月1日からは低廉な空き家等に対する仲介手数料の金額の引き上げも行われ、空き家対策に力を入れるシーンが増えています。
■なぜ、空き家は増えてしまうのか?そのまま放置すると・・・?!
子どもが独立して家庭を持ち、新たに住宅を購入する。そのような核家族が増え、実家で離れて暮らしていた両親が亡くなると、そのまま空き家になってしまう例が多くあります。親族の誰かが住むのか、売るのか、貸すのか。解体するにも費用がかかります。木造家屋でも坪単価は数万円になる解体費が掛かる為、解体するぐらいなら、そのまま放置をして、建物が朽ちていく様子を見守っているといった人も多いようです。
空き家は適切な管理が欠かせません。半年も放置すると、人が住めなくなると言われています。また、新たに所有者となった人が遠くに住んでいて、電気やガスを止めて何もしないままでいると、1年もすれば荒れてしまうようです。並行して売る、貸すといった手段を積極的に探さなければなりません。
■「特定空き家」と指定される前に不動産の相談をしましょう!
空き家を巡っては倒壊の危険や衛生上の問題などで周囲に悪影響を及ぼすものを「特定空き家」と指定する仕組みが特別措置法で設けられています。さらに2023年12月には改正特措法が施行され、新たに「管理不全空き家」という区分もつくられました。周辺の安全に著しい影響まではなくても、敷地内にゴミが山積しているなど、特定空き家予備軍ともいえるケースを想定します。
特定空き家に指定されるなどすると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなってしまいます。税負担が大きくなるわけですが、所有する空き家について、ゆくゆくは売却や賃貸、解体を考えているとしても、すぐ結論が出せない場合は多くあります。それでも管理は怠らないことが肝要となり、管理にあたってのポイントを考えてみたいと思います。家屋の通気や換気、台所の流しやトイレ、風呂などの排水設備の通水のほか、庭木の枝の剪定(せんてい)や草むしり、敷地内の清掃、郵便物の確認などをしているかが挙げられます。建物全体の傾きや雨漏りの跡の確認も重要になります。
空き家の管理とは、最低でも月に2回の風通しが必要となります。管理できないなら、防災・防犯のためにも地元の不動産業者やセキュリティー会社に頼む手もあります。火災保険にも加入しておくことも万が一の備えともなります。
■空き家は活用をしなければなりません。空き家の活用事例をご紹介!
実際にこのような方が居たようですが、空き家の活用事例をご紹介したいと思います。
女性は早くに夫を亡くし、一人息子は独立。持ち家で一人暮らしをしていました。やがて離婚した息子に先立たれてしまい、3年前に高齢者施設へ入居することになりました。空き家となった家の所有権は累計2500万円までは贈与税がかからない「相続時精算課税制度」を利用し、孫に譲ったケースです。
この孫は空き家を改装して民泊サービスに登録しました。女性の思い出の家を残しつつ、孫自身も利用できるといった活用事例です。家がゆくゆくは空き家になるのは予想ができることです。親が認知症になるケースも想定されますし、認知症患者は高齢者の「3人に1人」がなると予想されています。手遅れになる前に話し合い、決断を促すのが重要になります。
自治体が空き家の有効活用を目指して運営している「空き家バンク」や空き家に的を絞った仲介・買い取り業者もいます。その地域の専門家に相談すると、意外な活用法が見えてくるかもしれません。2024年7月1日からは低廉な空き家等に対する仲介手数料の金額の引き上げも行われ、今までは積極的な活用提案を行えずにいた不動産事業者も今回の改正により、積極的に相談に乗ってくれるようになります。
国に負担金を払って土地を引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」もあります。建物がある土地は対象外などの条件があり、費用もかかる為、各地の法務局に相談する必要があります。
空き家を抱えたまま何もしないでいれば、子・孫世代が管理や処分に苦労するかもしれません。空き家のまま長く時間が経過するほど売却などの選択肢も狭まります。早めに行動を起こす必要があり、本日の内容も今後の活動にお役立ていただければ幸いです。
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