物件探しを行って、いよいよ買いたい物件に出会ったら、次のステップは「買付申込」です。
売主側に対して購入意思と希望金額、その他条件などを伝えて、購入のための交渉を行うプロセスです。
<住宅購入のプロセスイメージ>
住宅購入時には購入判断材料としてあらかじめ把握しておいた方が良いことがあるのですが、売買契約を終えてから動き始める方が多く、「事前に知っていたら契約しなかったのに…」という状況も考えられます。
売買契約を締結するまで購入することが決定するわけではないので、買付申込を行ったら可能な限り最短のスケジュールで売買契約を締結できるよう動きます。
買付申込後は思った以上に早くスケジュールが進行するのです。
不動産会社に言われるままにあれやこれやと流されて、気が付いたら売買契約の予定が決まっていた…なんてことにならないように、今回は買付申込に当たって最低限やっておくべき事項を3つご紹介いたします。
マンションと戸建てで判断が異なるので、今回は木造戸建てに焦点を当てます。
第3位 住宅ローンの事前審査
買付申込時にやっておいた方が良いことTOP3の第3位は「住宅ローンの事前審査」です。
正しくは買付申込時ではなく、買付申込前にあらかじめやっておくべきことなのですが、意外と住宅ローンの事前審査の重要性をご存じでない方が多いので第3位として挙げました。
買付申込にあたって住宅ローンの事前審査は必須です。基本的には事前審査が終わっていないと買付申込が成立しないことの方が多いです。
住宅ローンの事前審査とは言い換えると支払い能力の証明です。
売主にとって避けたい状況は、住宅ローン特約による売買契約の白紙解約です。
売買契約に費やした労力が無駄になりますし、さすがに売買契約が予定されているのに他の方と交渉する訳にもいかないので機会損失と言えます。
当然ながら売主にとって負担が大きい住宅ローン特約による売買契約の白紙解約を避けるために、売主側の仲介会社は買主の支払い能力を厳密に見定める必要がある訳です。
住宅ローン事前審査は物件探しの前にやっておくべきことです。
住宅購入を検討されていてまだ事前審査を行っていない方がいらっしゃれば、なるべく早めに事前審査を行うことをお勧めします。
第2位 リフォーム履歴を確認する
買付申込時にやっておいた方が良いことTOP3の第2位は「リフォーム履歴を確認する」です。
新築住宅ではないので、その建物をどのように使ってきたのかは重要な購入判断材料です。
まずこれまで一度もリフォームしていない場合ですが、外壁・屋根の耐用年数から築浅の物件であっても購入時もしくは購入してから数年でリフォームが必要になる可能性があります。
住宅ローンを組んでしまうと、追加のリフォームローンが使いにくくなるので、住宅購入時に防水対策のリフォームをあわせて実施した方が良いでしょう。
もし購入検討中の物件がリフォーム済みの場合は何をリフォームしたのかが重要となります。
設備の交換程度なら良いのですが、壁を撤去を伴う間取り変更リフォームが行われている場合は、耐震性が損なわれている恐れがあります。
最も注意すべきなのは増築です。
確認申請を伴うリフォームならまだ良いのですが、10m2以下など確認申請が不要な場合もあり、確認申請を伴っていない増築は、増築部分が未登記でローン審査に引っかかったり、木造なのに鉄骨を使用しているなど耐震診断対象外となる混構造の状態になっている恐れもあります。
リフォーム履歴を確認するタイミングは3つです。
一つ目のタイミングは内見予約時にスケジュール調整のついでに確認することです。
リフォームの詳細まではヒアリングできないかもしれないですが、リフォーム履歴の有無くらいは確認できます。
二つ目のタイミングは内見時です。
売主が同席している場合は直接聞けば良いですし、売主側仲介会社の立ち合いの場合も、その場で回答を得られないとしても質問することができます。
売主も売主側仲介会社も立ち会わない場合は後日確認となります。
三つ目のタイミングは買付申込前です。
購入意思が固まってこれから具体的な手続きに入るというタイミングなので、確認できないということはほとんどないです。
ただし、こちらから質問しないと情報提供してくれないので、忘れずに確認するようにしましょう。
質問は「これまでリフォームを行ったことがあるか?」「どこをリフォームしたか?」の二つです。簡単ですね。
リフォーム当時の資料(図面や仕様書など)は残っていない場合が多いので、リフォーム履歴がある場合は、リフォームした箇所と内見時の写真を持ってリフォーム会社に早めに相談した方が良いです。(できれば内見に同行してもらった方が良い)
売主が実施したリフォームによって、どうしようもない状態になってしまっている住宅もあるので、リフォーム履歴の確認は本当に重要です。
第1位 住宅ローン減税を適用する方法を確認する
買付申込時にやっておいた方が良いことTOP3の第1位は「住宅ローン減税を適用する方法を確認する」です。
住宅ローン減税は住宅ローンを組んで住宅を購入すればもれなく使えるものではありません。
中古住宅の場合は築年数の要件があります。
判断が難しいので、買付申込の際に担当している仲介会社に、「住宅ローン減税が利用できるか?」「住宅ローン減税を利用するための方法」を必ず確認するようにしてください。
築年数の要件を超える住宅の場合、耐震改修工事や瑕疵保険加入のための劣化改修工事が必要となるケースが考えられます。
これらの改修工事はインスペクションを実施しないと、改修工事にどれくらい費用がかかるかなどの詳細情報がわからないので、インスペクションを行うタイミングが重要となります。
築後年数要件越えの住宅ローン減税の手続きには仲介会社の協力が不可欠ですが、中には全く協力してくれない事業者もいるので、担当する仲介会社の協力体制を確認するという意味でも、買付申込時に住宅ローン減税の確認を行うことをお勧めします。
以上、買付申込時にやっておいた方が良いことを3つご紹介しました。
今回ご紹介したもの以外にも確認した方が良いことがあるのですが、物件の状態や取引の状況で判断が異なるので、担当する仲介会社に「買付申込にあたって確認しておくことはありますか?」と質問してください。
今回ご紹介した3つが出てこない場合はその仲介会社を通じて購入するのは見合わせた方が良いかもしれません。
また、購入判断材料はなるべく多く得てから取引を進めたいという考え方もわかるのですが、買付申込前に時間をかけてしまうと、他の人に売れてしまう恐れがあります。
不動産売買契約を締結するまでは物件の購入が確定しないということも念頭に置いて判断する必要があると思います。