春は、晴れると気温も上がり、最高気温が25度を超えることもあります。ただ、地面付近が暖められた時に、上空に寒気が流れ込むと、対流性活動が活発となり、積乱雲が発生します。発達した積乱雲から降る氷の粒が「雹(ひょう)」です。
積乱雲といえば夏をイメージされるかもしれませんが、夏は雹が落下する間に途中で溶けて、大粒の雨となって降ることが多いのです。
雹は春や秋に降ることが多く、特に、5月から6月にかけて雹による被害に注意が必要です。
雹(ひょう)と霰(あられ)の違いは?
ところで、雹と霰の違いをご存知でしょうか?ともに、発達した積乱雲から降る氷の粒で、球形かあるいは不規則な形で、透明なものや乳白色と透明の層が交じっているものがあります。
実は、その違いは大きさなのです。
雹は直径が5mm以上のもの、霰は直径が5mm未満のものをいいます。
熊谷地方気象台によると、1917年6月29日に、現在の熊谷市で最大で直径29.5cm、重さ約3.4kgのカボチャの雹が降ったという記録が残されています。
雹の落下速度は100kmを超えることも
雹は発達した積乱雲から降ります。
普通は小豆粒くらいですが、ピンポン玉ほどの大きさになることもあります。
2000年5月24日に関東北部で降った雹の大きさは、ピンポン玉や直径5~6cmのミカンの大きさのものがあり、学校の窓ガラスが破損したり、多数お負傷者が出るなど、大きな被害が発生しました。
雹は大きくなるほど落下速度が速くなり、直径5mmでは速度36km、直径5cmでは速度115kmになります。
このため、大きな雹が降ると、ビニールハウスやカーポートなどが破損することがあり、大変危険です。
雹の被害を最小限に抑えるために
もし、外出中に雹が降ってきたら、カバンなどで頭を守り、頑丈な建物内や軒下、物陰などへ避難してください。
雹が降る場合は、突風を伴うことが多いため、上からだけでなく、横からも雹が降ってくることがあります。車を運転中の場合は、屋内の駐車場など安全な場所に避難しましょう。また、屋内では、雨戸やシャッターを閉めて、窓から離れてください。
屋外にある車は、厚手の毛布や布団、ベニヤ板などで車体を覆うことで、雹の衝撃を和らげることができます。
天気急変のサインを知るには
急な強い雨や、落雷、雹、竜巻などは、発達した積乱雲によって引き起こされる現象です。雷注意報が発表されたり、天気予報で、「大気の状態が不安定」「竜巻などの激しい突風」などの言葉が使われたりする場合は、局地的な大雨や雹の降る可能性がありますので、注意が必要です。
また、次のような天気の急変をもたらす発達した積乱雲が近づくサインを知る事も大切です。
・急に空が暗くなって、黒い雲が近づいてきた
・冷たい風が吹いてきた
・雷の音が聞こえてきた
こうした変化を感じたら、まもなく局地的な激しい雨や落雷、突風、雹などの現象が起こる恐れがあります。速やかに安全な場所に避難もしましょう。
天気予報に加えて、空の変化にも注意して、早めに備えをなさってください。
また、雹などでご自宅に被害があった場合には、速やかに火災保険会社へ問い合わせを行い、修繕がしっかりと出来るようにしましょう。
放置する事で、建物の状況が悪くなる事もありますので、早めの対応をお勧めします。